ダウンロード (1)

1: 名無しさん@おーぷん 2016/02/28(日)02:00:48 ID:tHj
いろいろと最低だった


2: 名無しさん@おーぷん 2016/02/28(日)02:07:23 ID:tHj
書きためしてないのでペースは遅くなる


すべての始まりは19歳のとき。
当時大学生だった私はチャットにはまった。
中学まで男子とうまくコミュニケーションが取れないまま女子高に進学した私は
大学に入ってからも男性と接することがうまくできないでいた。
そんな私にひらかれたのがチャットの道だった。



3: 名無しさん@おーぷん 2016/02/28(日)02:16:57 ID:tHj
最初に選んだジャンルはアダルトだった。
喪女の典型でありながらも幼少期からエロに興味津々だったこともあるが
アダルトを選んだ一番の理由は「会話に制約がないから」だった。

確かに制約は無かったが、そこは主にエロ画像が延々と貼り続けられる部屋だった。
場所を考えたら当たり前なんだけど、
個別で話せるメッセージで知らん男からどんどんエロチャットに誘われるのがうざったかった。

でも、メインチャットで仲良くなった人もいた。
その中で特に仲良くなったのがKだった。



4: 名無しさん@おーぷん 2016/02/28(日)02:25:24 ID:tHj
Kはアダカテの中では有名な荒らしだったようだ。
メインでしゃべっているうちになぜか仲良くなった。
今思えばそれは、私が19歳女っていうスペックだけを見てたんだとわかる。

当時26歳、失業中の今で言うパチンカス。
しかもキャバクラ好きで
「今日は○万円も使ったけど、おっぱい触らせてくれませんでした」
とかいう報告をいちいちしてくる。
そんなこと言われてもなんて返せば良いのか分からなくて面倒だったけれど、
それを除けば、頭の回転は良くて話が面白かった。
たわいない話にもよくつきあってくれて、落ち込んでるときにはアドバイスをくれたりした。

一度も会ったことが無いのに可愛い、好きだ、と繰り返されて
頭の悪い私は、チャットを通じて私の人柄を見てくれたんだと信じてしまった。



5: 名無しさん@おーぷん 2016/02/28(日)02:28:53 ID:tHj
私も、いつの間にかKを好きだと思うようになっていた。
常に敬語で話してくれたので紳士だと思っていたし、
いつもアドバイスが的確でとても救われていた。

そんなとき、一度顔を合わせる機会ができた。
私がサークルの飲み会で都内に出たとき、
Kも同じ駅の近場でオフ会をやっていたことがわかった。

メールでやりとりしてるうちに会ってみましょうと言うことになり
私は友達についてきてもらって、待ち合わせをした。





6: 名無しさん@おーぷん 2016/02/28(日)02:34:37 ID:tHj
駅について電話をし、目が合ったのが太った眼鏡の小男だった。
こちらは身長が170くらいあるブサイク大女。
沈黙が流れた。

Kの側には、赤い髪を逆さに立てたパンクファッションの若い男も一緒にいた。
やっとの思いで自己紹介をした。
まだ自分たちは飲みに行くが、一緒に行かないかと誘われたが、帰りますと言った。

それからKは二度とチャットに来なくなった。



7: 名無しさん@おーぷん 2016/02/28(日)02:37:37 ID:tHj
当時はライブカメラも無い、完全に文字だけのやりとりの世界。
自分のお粗末な見た目にも気が引けたし、
お互いに会ってみるまでは分からないと強く感じた。

でも、チャットは懲りずに続けていた。
アダカテからは遠ざかり、世代の部屋に移動した。
ギリ10代だったので10代専用の部屋にとどまると、
中学生や小学生も多くて会話ともよべない稚拙なやりとりが多かったが
それがかえって私の心を和やかにした。



8: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)02:45:53 ID:tHj
しばらくして、私は個人でチャット部屋を開くようになった。
だんだん常連がついてきて、今度はそこがよりどころになった。

月草、テル、ルリ、りん、神楽という常連がいた。
ルリとりんは女、月草とテルと神楽は男だった。

ルリは(多分)メンヘラで、部屋主の私に依存してきた。
電話番号を交換してよく電話をかけてきた。
彼女がどうしてメンヘラなのか詳しい理由はわからなかったが、
ときどき混乱して発する言葉を見る限り虐待されているような気がした。

でも正直なところ、私にはどうやったら彼女を助けて良いか分からないし
彼女もただ私に垂れ流すだけで解決を求めてはいないようだったので、
そのうち話をまともに聞くのが疲れてきた。



9: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)02:52:18 ID:tHj
テルと神楽と私は主にメインでバカ話で盛り上がった。
りんはいかにも10代の女子という感じのかわいらしさ、
月草はあまり出しゃばらず、ときどき冷静な突っ込みを入れる大人っぽさがあった。
10代の割に大人びていて、月草はもしかしたら自分と同世代かちょっと上だろうかと考えていた。

あるとき、他の常連たちがすべて落ちて月草と二人きりで話す機会があった。
月草もルリから依存されていたらしい。
私と違ったのは、本気でルリをなんとか救えないかと考えているところだった。



10: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)02:59:33 ID:tHj
それから月草と私の距離が縮まった。
月草は私より3歳下の16歳だった。
月草は真面目にルリを救おうとしていたが、
ルリ本人が具体的に解決に向かおうとしないため、同じことの繰り返しだった。

そのうちテルがそれに巻き込まれた。
テルはルリに本気で惚れてしまい、月草以上にルリに入れ込んだ。
私はテルが苦手になっていたので一歩引いていたが、
月草は両方に関わっていたので大変そうだった。

そのうちそれはアッサリ解決した。
ルウはネカマの愉快犯だった。
テルは激怒してそれっきり来なくなった。
ルウも消えた。

りんと神楽はその間に恋愛関係になったらしく、
騒動の間に二人そろって来なくなっていた。

私と月草だけが残されて、私はチャット部屋を開くのをやめた。



11: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)03:05:32 ID:tHj
月草とはずっとメッセンジャーでやりとりを続けた。

私は関東、月草は中部でお互いに学生なので会うことは難しかった。
でも、エロメを送り合ったりやることはやっていた。

お互いの写真も送り合った。
Kの時の苦い記憶があるので、またこれで終わってしまうのでは無いかという不安もあった。
初めて見る月草の印象は、ガタイの良いクマのようだった。
顔は正直言って好みではなかった。

月草のほうのリアクションは覚えていない。
でも、今思うとやっぱり期待外れだったんだと思う。

次の年の夏休み、私は月草の地元に遊びに行くことにした。
初めてのデートだった。



12: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)03:22:00 ID:tHj
月草は親御さんに私のことを話していたらしく、
向こうの親御さんはニッコニコで私を出迎えてくれたが
共働きだとのことで、そのまま仕事に行ってしまった。

親御さんがどう思っていたのかはわからない。
私たちは互いに処女と童貞だったが、二人になればやっぱりそういう雰囲気になった。



13: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)03:30:34 ID:tHj
結局、月草とは3年ほど遠距離のまま連絡していた。
その間会ったのは3回くらいだった。

月草は日に日に初期の頃の優しさが消え、
しだいにぶっきらぼうになっていった。
私にはそれが不満だった。

よく、結婚すると自分の奥さんを悪く言う男がいるが
月草もそういうタイプのようだった。
いずれは結婚したいね、とその時から言っていたが
どこかで間違いなく、この人は結婚したら私のことを妖怪とかババアとか平気で言うんだろうな
とどこかで思っていた。

決定的に冷めたのは、3回目にデートした後の会話で
「なんか、最初に比べるとゆるくなったよな(笑)」と言われたことだった。

正直、紙おしぼりくらいの粗末さのくせにと思って許せなかった。



14: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)03:38:14 ID:tHj
22歳の6月頃。

2chでネトヲチ板にいた私は、そこである祭りに遭遇した。
避難所をたててそこに誘導するときにメッセンジャーを使ったおかげで
私はウォッチャーの一人であるコテハンと仲良くなった。
Fとする。

Fは非常に物腰柔らかな人で、私ははじめ女性だと思っていた。
しかしそのうち、私より3歳年上の男性だということがわかった。



15: 名無しさん@おーぷん 2016/02/28(日)03:39:35 ID:g9S
大事なところをはしょるんじゃない!


16: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)03:40:41 ID:tHj
>>15
ごめん

でも正直思い出すのが苦痛なくらい、いやな思い出なんだよ。



17: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)03:42:05 ID:tHj
だってブサイク大女と、ブサイク熊男がいたしてる描写なんてグロ以外の何物でも無いでしょ?


19: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)03:48:54 ID:tHj
でもそのうち、いやでもそういう描写出てくるから、まっとれ。。。


ヲチ板の祭りは大発展も見せず鎮火した。
でもFとの交流は続いた。
Fはなぜか分からないが私のことを気に入ったようでよく話しかけてきた。

こちとら卒論準備中の大学生。
Fは何をしているのかと思ったら、無職だった。



20: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)03:51:44 ID:tHj
なんでも、就職した先の会社でうまくいかなくて辞めたところで、
以前からずっと興味があった心理学の方に進みたいと思ったそう。
知り合った当時のFは地方にいたが、上京して学士編入を目指すつもりだという。
学費はどうするのかと聞いたら、新聞奨学金制度を使うと。

8月、Fは上京してきた。
私たちはつきあい始めた。



21: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)03:59:50 ID:tHj
都内の下町のオンボロアパートがFの新居だった。
私も学校帰りによくFに会いに行き、交際は順調だった。

今思うと、20代で一番愛されていた時だったんだと思う。
Fはこんな私でもとても可愛がってくれて、優しかった。

月草との味気ない3回しか経験していなかった私は
FのおかげでSEXを気持ちいいと思えた。
研究家なのかねちっこいのか、私が喜ぶポイントを探して
とにかく体中をまさぐられた。

経験の少ない私は、自分でも驚くほど感じる体になった。



22: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)04:04:32 ID:tHj
メッセンジャーでのやりとりでは女性かと思うほどの柔らかい物腰だったFは
リアルではちゃんと男性らしく性欲も旺盛だった。
私がいやがること(痛いこと、アナル)は一切しなかった。
その代わりフェラと手コキを好んだので、それはかなり仕込まれた。

Fがゲーマーという一面を持っていたおかげで、私はエロゲーにも手を出した。
でもほとんどはつまらなくて、Airにはドはまりした。



23: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)04:10:31 ID:tHj
Fは料理も上手だった。
大学時代は寮にいたらしく、自炊もそこで覚えたとのこと。
紅茶やコーヒーが大好きで入れ方も上手だった。

私が就職して一人暮らしをするとき、Fが引越しの手伝いに来てくれた。
私の両親と妹にFを紹介して、みんなで一緒にご飯を食べた。
両親はFのことを気に入ったようだった。

あとから妹にも言われた。
「Fさん、お姉ちゃんの面倒見がすごくいいよね。
料理全部取ってくれたり、おしぼりで拭いてくれたり、子供の世話焼くみたいだった」

その通り、Fは私を本当に可愛がっていた。

そして、私がそれにあぐらをかいていたのも、事実だった。



24: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)04:16:20 ID:tHj
私にとって100点満点のようだったFにも、
つきあいの期間が経つにつれて不満に思うことが増えてきた。

一番いやだったのは、怒ると口をきいてくれなくなるところだった。

あとは、合わないと思うところが目につき始めた。
Fは詩板の住人で、ときどき言うことがポエミーというか
抽象的すぎて意味が分からないことがあった。

そして、猫を飼い始めた。
もともと猫好きだったそうなのだが、問題は私がアレルギー持ちだったことだ。
子猫の時には気づかなかったが、成長して毛が抜け始めた頃に
私がひどい喘息の発作を起こした。



25: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)04:22:34 ID:tHj
Fの家に着くまでは何ともないのに、部屋に入ると5分もしないうちに痰が絡み、
気管が腫れて呼吸ができなくなってしまった。
部屋があまり綺麗でなかったせいもあるのだろう。
Fは、私がいる間は猫を外に出すようにしていたが、あまり改善しなかった。

猫のことで文句を言ったとき、Fは私にこんなことを言った。
「(私)ちゃんって、動物を飼ったことがないから心が冷たいんだね」



26: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)04:29:37 ID:tHj
あるときFは、詩板でイベントを立ち上げようとした。
私は全く興味が無かったのに、なぜかFに役割を割り当てられた。

えっ、なんで? 私こんなことやりたくないんだけど。
仕事もあるし。

普通に断っただけのつもりだったが、Fは口をきいてくれなくなった。
私はFを怒らせた理由が全く分からなくて、混乱した。
何もしなくても愛されている状態が当然だと思っていた私には、
なんで急に冷たくなったの、とオロオロすることしかできなかった。

ようやく、協力しないことが原因なんだとわかり、
ただ口先だけで協力すると言ってもだめで、
具体的に指示されたことを完璧にやり遂げるまで無視は続いた。

私が努力の痕跡を見せて、ようやく態度を軟化させたFはこう言った。

私ちゃんにはパートナーでいて欲しい。
パートナーっていうのは、すべてにおいて、パートナーでなければならない。
だから俺がやりたいことにも、私ちゃんは絶対に協力しなければならないんだ。



27: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)04:33:09 ID:tHj
ちょっと疲れたので、続きはまたあとで。



28: 名無しさん@おーぷん 2016/02/28(日)07:23:41 ID:vih
濃いね


29: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)16:46:27 ID:tHj
時間を遡るが、Fを初めて怒らせたのがつきあい始めて3ヶ月目のことだった。
この時私はまだ卒業を控えた学生で実家暮らし。
Fは携帯電話を買ったばかりで、私と会えないときもメールができることが嬉しかったらしく
頻繁にメールを送ってきた。

ある日曜日、私は母の買い物につきあわされ、荷物持ちをさせられていた。
ときどき携帯が震える。
Fがメールを送ってきているのだと言うことは察したが、
その場ですぐ返事を返せるほど私もまだ携帯に慣れていなかった。
何より、母とおしゃべりしているのに携帯なんて見る余裕はない。
なんとか、一言、二言隙を見て返したが
「私ちゃん、お返事遅いよ~?」
の返信にイラッときて
「悪いけど、母と買い物に出てるからすぐに返事なんて返せないよ。こっちにはこっちの都合がある」
と返した。



30: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)16:52:24 ID:tHj
「冷たい・・・・」
「落ち込んでます」
と続けてメールが来て、それきりになった。

帰宅して、私も頭に血が上ったなと反省して
「今日はごめんね。前もって、出かけるから返事がなかなかできないことを言っておけば良かった」
と送った。

しばらくして、
「タバコ、買ってこようかな」
というかみ合わない内容が帰ってきた。
?と思いつつも
「もう外が寒いから、買うなら気をつけて行ってきなよ」
と返すと、
「私ちゃんに振られた男のことなんか、気にしないでくれ」
とさらに訳の分からない返事が返ってきた。



31: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)16:57:52 ID:tHj
実は、Fは上京する前まではヘビースモーカーだった。
でも私がタバコが苦手だと話すと禁煙すると決めてくれ、東京に来てからは一本も吸っていなかった。
そのFが再びタバコを吸いたいとも取れるメールを送ってきたことに対し
私はなんだかがっかりしたけれど、それだけの話だと思っていた。
私に対する反発の意思表示をしただけなんだと。

でも実際はFの中ではそうではなかった。
やがて
「最後のメールです。元気でね」
という内容が来て、私はやっと事態を理解した。



32: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)17:00:25 ID:tHj
それからはメールしても返事無し、電話をしても着信拒否。
どうしたらいいのか分からなかった。
そもそも私が悪いのかすらも分からなかった。

今思えば、ハァ?と思った時点でこちらも冷めて捨てられれば良かったのだが
まだつきあって3ヶ月、それまでずっと優しくしてくれて
初めて男性に愛される幸せを覚えたばっかりの喪女にそれができるはずもなかった。

私は翌朝、始発でFの家に行った。



34: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)17:15:50 ID:tHj
明け方5時過ぎ、私はFの部屋に合い鍵で入った。
Fは新聞配達のバイトでいなかったが、しばらくして帰ってきた。

ここで何をしてるの、と言われ私は泣きながらFに謝った。別れたくないとすがった。
でもFの表情は硬いまま。何を言ってもだめだった。

しばらくして、Fは私を無視したままコタツに横になって眠った。
私はどうしてもこのままは帰れなくて、目が覚めるまで待とうと思った。

ふと、つけっぱなしのFのパソコンが目に入った。



35: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)17:19:12 ID:tHj
Fは詩板に投稿するポエムをメモ帳に書き留め、デスクトップによく保存していた。

私は自分の置かれた状況も忘れて、Fのポエムを読みふけった。
特別そこにはヒントになることなど書いてはいなかったが、
そういうのがFの求める世界なんだなあとは思った。

私は思いつきで、一番最後のポエムの下に
Fのことが本当に好きだ、離れたくないということを
その時自分が書ける精一杯のポエム調で書き残し、ファイルを閉じた。

そして私もそこで疲れて眠ってしまった。



36: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)17:23:44 ID:tHj
どれくらい眠ったか分からないが、
何かが自分に覆い被さってきた拍子に目が覚めた。
私に被さっていたのはFだった。
泣いていた。

何だ?どういうことだ?なんで泣いている?
と混乱してFに話しかけたが、Fは泣きじゃくっていて何も話さない。
肩越しにデスクトップが見え、私が書き残したファイルが開かれていた。

Fはこれを読み、私がポエムという形を取ったことで心を開いたようだった。
こうして付き合いは再開したのだ。

でも、Fの自分が思い込んだらかたくなになるところや
こっちがFの気に入る態度を示すまではコミュニケーションを拒否する傾向は
その後も繰り返し起きた。



37: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)17:29:12 ID:tHj
Fとつきあって2年が経ち、私は24歳になっていた。
Fともマンネリ化していて、面倒に思うところが増えてきた。

そして、私は再びチャットにはまり出した。
選んだのは古巣、アダルトカテゴリー。
この頃はライブカメラが普及していて、
女性がおっぱい公開をしたりして部屋を盛り上げていた。

私も気晴らしに公開した。
顔を出さず、胸だけ見せて部屋に人が集まってくるのが快感だった。

いくつか個人部屋をジプシーしていた私は、ある部屋に落ち着いて常連になった。
その部屋主は、Yという男だった。



38: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)17:38:53 ID:tHj
Yの部屋で目玉の公開者となった私は、
仕事から帰るとすぐにチャットに入り、深夜まで楽しく過ごした。
私のおっぱい目当てに群がってくる男たちにちやほやされるのはとても気持ちが良かった。

そっちが楽しくなってきた頃、毎週会っていたFともだんだん会わなくなり、
何日メールをしなくても気にならなくなっていた。
Fの方からも何の誘いも来なかった。

全く会わなくなって3ヶ月くらいして、私はFの部屋に合い鍵を返しに行った。
私たちは別れた。



39: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)18:02:20 ID:tHj
これからシンドイ展開になってくるの、思い出すのがこんなにキツいと思わなかったなぁ
ココア作ってこよう



40: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)18:03:14 ID:tHj
はっきり言って自分がバカだった、それだけなんだけどね原因は。


42: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)18:20:15 ID:tHj
私はFとつきあってた頃、Fに愛されるのが当たり前だと思っていた。
この頃に私が相手を思いやるということを身につけられていれば
もしかしたらFとはずっとうまく行ったのかもしれない。

でも私はかりそめでもちやほやされることを選んだ。
ここから、愛されることを勘違いした私の遅咲きの狂い咲き、
ビッチ化が始まる。

部屋主のYとは、そのうちプライベートでも仲良くなった。



43: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)18:27:15 ID:tHj
ライブカメラを使ったチャットが主流になったおかげで、
Yとはお互いに顔を見せ合って話した。
チャット部屋の主旨がエロなのでそういう話が多く、
私は自分の映像を求められることがアイデンティティになっていった。

公開するときには顔を映さず胸だけ、褒めてくれる人はいっぱいいた。
Yの専属公開嬢として定着した頃、二人きりでオフ会をした。

居酒屋で飲んで、酔ってキスをされ、そのままホテルに入ってSEXした。



44: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)18:34:26 ID:tHj
愛されることを勘違いした私は、Yと体の関係を持ってからすぐに現実を知ることとなった。

Yは元カノに未練たっぷりだった。
そして、チャット部屋の公開が生きがいな男だった。

その後、会うたびに元カノがいかに素晴らしく優しい女だったかとか
結婚するならY君とと言ってくれたから待っているとかを聞かされ
元カノから電話がかかってくると、私は部屋を追い出された。

公開嬢としても、すでに手をつけた私なんかちっとも大切にしてくれず
新しい公開嬢を発掘することにいそしんでいた。

寝てしまってハマってしまった私は、まったく愛されない状況に発狂しそうだった。



45: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)18:41:13 ID:tHj
ずるずる体の関係だけ続けて1年が経った25歳の秋。
Yの部屋で仲良くなった常連がいた。
まだ微妙に公開を続けてた私のファンで、自称44歳のSだった。
私はとくべつオッサン趣味と言うわけではなかったので、彼と特別仲良くするのにはためらいがあった。
年齢で言うならYが私の10歳上でギリギリくらいだった。

けど、父が獣医で弟が医者、自身も東大卒だというSに「話してると楽しい」と言われるのは、
私の自尊心をくすぐって心地よかった。



46: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)18:44:41 ID:tHj
Sは若い頃の女癖の悪さで、絆らしい絆もないままデキ婚した嫁とは10年前に死別。
娘も二人いたけど嫁側の実家に預けて自由の身。
そんな罰が下ったのか、たちの悪い女に引っ掛かり、カードを使われ自己破産。
それ以来、慎ましく生きることを考えるようになったと話していた。

やっぱり頭の悪い私は、それでいたく同情してしまった。
自業自得だと自嘲する相手に、私から追い撃ちをかけるようなことは言えなかった。

Yからのセフレ扱いにけっこう傷ついていた私は、
すねに傷を持ちながらも私にだけ興味を持ってくれた(ように思えた)
Sの存在は救いになっていた。
近場だったのもあって、仲良くなって一月足らずで彼の家にお泊りしていた。



47: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)18:46:24 ID:tHj
しかし、それもすぐにほころび始めた。

ささいなきっかけで明らかになったのが、Sが年齢を偽っていたこと。
実は44歳ではなく、47歳だったのだ。
たかだか三歳程度のサバ読みにどんな意味があるのか今もって謎なんだけれど、
その時のSはなんとなくそう言ってしまった、らしい。
年齢ごときにしらっと嘘をついてたことに、私はなんとなく引っ掛かりを感じた。

そしてその予感は正しかったと、後に知ることになる。



48: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)18:52:31 ID:tHj
Sは、物覚えの良い人間にありがちなプライドの高い男だった。
性格はワガママで頑固、さらにかなり神経質で口が悪い。
幸い、私との関係にはその傾向が及ばなかったけど、
電話で愛想良く話していた相手に対して、通話を切った途端に毒づくなんて光景が珍しくなかった。

Sとの付き合いの中で深刻な問題だったのが、金銭感覚のズレだった。
なにしろ実家は開業の獣医。
人間のお医者さんほどではなくても裕福な出自だし、
S自身も昔は獣医をやってて相当の稼ぎがあったという。
当時はとっくに獣医はやめて畜産系・食品系の仕事をしてたんだけど、
会社の従業員というわけではなくて、どうも顧問のような位置に居たらしい。
聞いた限りでは、獣医業をやってた頃の収入には及びもつかないはずだった。
それにも関わらず、持ち物に対するこだわりは並ではなく
むやみに高価なものを求めはしないが、自分の選ぶものの品質には絶対に妥協しなかった。



49: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)18:58:26 ID:tHj
その中でも特に、Sは車にお金をかけて大切にしていた。
問題は車種。
メルセデスベンツのEクラスワゴンで、12年落ちの代物。
私は車のことをよく知らないが、その車は別にそれほどグレードの高い車ではないらしい。
しかもかなり年数が経ってるので、とにかく色んなところがすぐ調子が悪くなる。
腐ってもベンツ、修理代が半端じゃない。



50: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:01:24 ID:tHj
付き合って二ヶ月目くらいだったか、 Sが会社の顧問をクビになった。
もともとが技術・研究職だからか、再就職先を探すこと自体に苦労したようには見えなかった。
ある会社の面接が決まったと聞いたとき、私は素直に喜んだ。
なのに、Sは直前で行かないと言い出した。
なにか問題でもあるのかと聞いたら、会場が浜松で、往復する交通費がないと言うのだ。
そんなことを言われたら、恋人としては
「その程度なら貸すから、せっかくのチャンスを棒に振らないで」
って言いたくなるのが当然だと思う。
私はSを好きになっていたので、やっぱりそう言った。
Sははじめは断ったけど、後日私に土下座をしてお金を貸りた。

私はSを支えてやれることに満足していた。
だから、思い当たりもしなかった。
「その程度の交通費」が出せないくらい浪費を重ねているSの実態の深刻さに。



51: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:06:25 ID:tHj
再就職のための必要経費も出せないような経済状況なら、
当然日々の暮らしもたちゆかないということには簡単に想像がついた。

Sが当時住んでいたのは都内の高級住宅街の賃貸で、ひと月の家賃が15万円もするところだった。
何度も実家に支援を求めるように言ったのだけど、彼は渋い顔をするだけ。
そのうちに、ガスも電気も止められたと携帯で泣き言を言ってきた。

再就職するまで、なんとか私が助けるしかないと思った。
家賃、水道ガス電気の料金全てと、食費をあわせると、私の月の稼ぎの額より多かった。
この月だけでSに渡したお金は40万以上にもなっていて、私はそれを全て貯金から切り崩した。
「この恩は絶対に忘れない。仕事が決まったら、少しずつでも必ず返す」
というSの言葉を信じようと思った。



52: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:09:44 ID:tHj
年が明けて、Sの使っていたパソコンが壊れた。
新規に購入したいというので、それも私が負担した。
Sは借り分と口では言っていたけど、自分から私への借用書を書く気配は一切無かった。
いくら信じているとはいっても、そこまで曖昧にされるのはなんだか不安だったので
私は貸すたびに手帳に日付と金額を付けるようになった。

当初はすんなり決まると思っていた再就職先も難航した。
その理由の大半は、会社側の条件をSがすんなり受け入れないからだ。
歳も歳で仕事を選べる立場ではないと私は思ったものだけど、
これから食品業界で研究職に就けば、どうしても現場が中国になる傾向にあるから、
それだけは絶対に避けたいというのがSの言い分だった。



53: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:18:01 ID:tHj
Sと過ごす休日はだんだん息苦しくなっていった。
なにしろ、Sは一日中パソコンをいじっているか、テレビの前でぼーっとしているだけで
そばに居る私に指一本触れようとしなかった。
私を拒絶していたわけではなかったけれど、とりたててかまってくれることも無い。
会話らしい会話も一切無い。
触れてくるときといえば、お風呂を済ませてベッドにもぐりこんだときだけ。

SEXしてる間だけは、私はSに愛されてると思うことが出来た。
一通りのことを済ませると、Sは私を放置してシャワーを浴び、私に背を向けて眠った。

Sはゴムをつけなかった。アレルギー持ちだからつけるとかゆくなると言う。
私は、絶対に中出しだけは避けてくれと懇願した。
それでも時々無理矢理中だしされることがあった。
私は必死に自分の生理周期を把握し、基礎体温を測り、次の生理がくることを必死になって祈った。



54: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:24:36 ID:tHj
ゴムをつけてくれないならと私はピルを飲むことを考えた。
そのことを話すと、Sは猛反対した。
「ホルモン薬なんか体に入れていいものじゃない。そんな危険なもの絶対に反対だ」
獣医をやっていて薬学の知識もあるSに言われると、恐ろしくなって諦めざるを得なかった。

たまに、今日は外で食事をしよう、と言う。
初めてSと外食したとき、渡している食費で出してくれるのかと思っていたら
Sは食事を終えると私と伝票を残し、自分だけさっさと外に出てしまった。
かなづちで殴られたようなショックを受けたけど、払わないわけに行かなかった。
外に出て私を待っていたSに猛抗議したら、
「せっかく久しぶりに美味しいものを食べて機嫌が良かったのに!」
と逆ギレされた。
それ以来、食事の席で私が払うのは当然なのだというプレッシャーが刷り込まれてしまった。

ちなみにこのプレッシャーはのちのちの付き合いにも響くことになる。
男友達と割り勘で飲みに行く程度の場合でも、
会計になると自分が多く出さなきゃいけないような感覚にさいなまれてしまっていた。



55: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:27:28 ID:tHj
私は我慢できなくてたびたび泣いた。

そのたびSは
「お前みたいな愛情表現を求める付き合いをしたことがなかった。
今まで女はみんな遊びの対象だったから、お前のことを本気で大事に思っていても
それを伝えることに慣れていない。でもちゃんと愛しているから泣かないでくれ」
と言って抱きしめ、私はそれにすがるしかなかった。

Sは私を愛しているから、私にしか本当の姿を晒さないんだ、と思い込むしかなかった。



56: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:30:58 ID:tHj
Sの再就職先はようやく決まったが、早々に海外出張を言い渡された。
はじめはインドに10日と言ってたのに、向こうで体調を崩して入院し、三週間くらい音沙汰が無かった。

ようやく帰国したと思ったら、二週間後にはチリ、
さらにその次はカナダと出張は続いた。

そのたびに一ヵ月くらいずつ音信不通になった。
しかもそれは試用期間中の研修ということだったので、給料は正規雇用の半分くらい。
事務職の私より低い額だった。



57: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:33:15 ID:tHj
その間に私がしたことというと、まず、Sの家賃は払い続けた。
あと、帰国してからSが起こした2回分のスピード違反の罰金を立て替えた。

その後、気晴らしに高速を飛ばしたいからと、私名義のETCカードを契約させられた。
私の口座から引き落とされる利用料を、Sが現金で補完するという約束だったが、守られなかった。

半年後くらいにSがそのカードを紛失したため、私はカードを解約した。

それからSは仕事をやめた。



58: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:38:43 ID:tHj
Sの転職のたびに海外赴任の話が出て、そのたびSは嫌がって一ヶ月やそこらで辞めたけれど
さすがにもう避けられないと思ったのか
海外に本社のある畜産企業に面接が通ったとき、ついに中国行きを受け入れた。
渡航の条件は3年間。
この時点で付き合って1年と2ヶ月が経っていた。
彼は私にこう言った。
「僕は、この会社に骨をうずめる覚悟で仕事をする。
 赴任が明けたら、お前と結婚する。それまでに必ずお金も返す。
 だから、待っててくれ」

翌月、私の妹が妊娠し、結婚することになった。
そしてさらに一ヶ月後、私自身も妊娠していることが判った。



60: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:42:21 ID:tHj
陽性判定が出たとき、私の目の前は真っ暗になった。

Sに話した。
育てることは出来ないから堕ろしてくれとあっさり言われた。
私も同意した。
もう貯金が底をついていて、自分の生活を切り詰めている状態だったからだ。
仕事を辞めるわけにはいかなかったし、
妹のことにかかりきりの親に頼ることも考えられなかった。

私は手術を受けた。




61: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:47:22 ID:tHj
職場の上司には流産したと報告した。
上司は同情の目で口外しないでくれた。
仕事を続けることが第一だった私には、恥を感じている余裕もなかった。

術後の休養としてSの家で三日間過ごす予定になっていた。
翌日、ベッドで抜け殻みたいになってる私にSが話しかけて来た。

「こないだまた車を修理に出したんだけど、
修理代が思ったよりもかかりそうで……
車屋が、この際残ってる車本体の未払い分と併せてローンを組んだらどうかって言ってきた。
もちろん、僕自身がローンを組めないのは車屋もわかってるから、
(私)に協力してもらう必要があるんだ」

その時、なんて答えたか覚えていない。
ただ、ああまたお金が必要なんだこの人はと思っただけだった。

なんだか、全てがどうでも良かった。



62: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:52:40 ID:tHj
その翌日、私の体調がだいぶ良くなっていたのをいいことに
Sにさっそく車で連れ出された。
行き先は話に出ていた車屋だった。

言われるままにローン契約の書面を書いた。
金額は手数料含めて300万ちょっと。
保証人の欄を書くとき、自分の親の名を書かなければいけないのだけがとてもイヤだった。
Sの両親の名を書けと言ってくれればいいのにって思った。
私の年収で契約できるのかとその時は不思議だったけれど、
後で確認したら車屋が巧妙にいじっていた。



63: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)19:56:19 ID:tHj
中国行きの一ヶ月前になって、Sはしばらく戻らない家のことを相談してきた。
3年も空けるのに家賃を払い続けるのはバカらしい。
しかし引き払うといったって、家具を保管しておく当てがない、と。

実家は?
と聞いたら既に勘当同然の状態だそうだ。
この頃までには、私には何でそうなったのかはもう察しがついてた。

つまり、Sは今まで散々実家にも金の無心をしていて、
しかもそれを返していないのだ。



64: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)20:02:23 ID:tHj
私の家にはろくな家具もなかったし、一人暮らしとしては少し広めの間取りだったので
結果、
私の部屋に必要最低限にまとめたSの調度品や衣類を運び込み、
ベッドや家電は処分し、Sの持ち物を使うことにした。
Sに百万以上のお金を「貸し」て引っ込みがつかなくなった私は
家具を質に取ることで、なんとか貸しを取り戻したいと思っていた。

私の部屋は一気に狭くなった。
箪笥が二つにイギリス家具が一つ、大きなセミダブルベッド、空気清浄機が3つ。
クローゼットには背広やアウターがぎっしりと幅を取った。
Sが中国に経つと、私の部屋は着実に埃っぽく、うっそうとしていった。

その年の秋、私は再びアダルトチャットに現れた。



65: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)20:10:59 ID:tHj
3回目のアダルトチャット利用は、公開するのが目的ではなかった。
バカ話を延々繰り広げられる場を求めた。

バカ話ができる広場で私はセフレを二人作った。
このうち一人は一回きりで終わり、
もう一人のOという男とは、比較的長く続いた。

Oはとても良いやつだった。
当時27歳になった私の5つ上の32歳、バツイチだった。
21で結婚した嫁がボーダーで22の時に離婚、
それ以後20年慰謝料を払うことを求められていて
二度と結婚はしたくねえ、が口癖だった。



66: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)20:15:06 ID:tHj
最初っから女と恋愛することを拒否していたからか、
Oはいつも誰とも適当なノリで会話した。
私ともそうだったが、その適当なノリが私にはとても楽しかった。
そのノリでSEXすることもとても気楽だった。

そうやってOに遊んでもらってるうちに恋をした。
恋をしたので、次の年の旧正月に帰国したSに「別れたい」と言った。
むしろ、別れるために恋をしたと言うほうが正解な気がする。
少しだけ食い下がられたけど、私に散々なことをしてきた自分だから当然だな……
と自嘲的なことを言って、「わかりました」と言われた。

出来るだけ早く家具も引き上げられるようにする、
ただ中国での仕事が過酷でいつになるかわからないが、とも言われた。



67: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)20:28:16 ID:tHj
案の定、中国に戻ってからは音沙汰が無くなった。
携帯もつながらず、アナウンスだけが流れた。
メールを送っても返事はこなかった。
私が組んだローンの月々の引き落とし分だけをきっちり振り込んでくるのが唯一の消息だったが
その振り込みも、あるときからなくなった。

いよいよSに逃げられたのかもしれないと私は思った。

アダルトチャットで愚痴った中の一人に
テレビ局で仕事をしているというコンタという人がいた。
東京に出張で出てきたときに飲もうと言われ、一回目はバーで飲んだ。
コンタは40過ぎのずんぐりしたおじさんだった。

二回目、また出張で近くに来るので遊ぼうと言われ
カラオケ屋に入った。
コンタは、つボイノリオの歌を歌いながら私の乳をまさぐってきた。
うげーと思いながらも笑いながらよけていたら、
今度は私の足を抱え込んで股の割れ目をなでさすってきた。

私は振り払ってカラオケから出て帰った。



68: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)20:41:16 ID:tHj
アダルトチャットは相変わらず続けていた。
ライブカメラで男も女も顔を出して喋るだけの部屋も増えてきていた。
Oには振られたが、その後セフレでもなく本当にただの友達として仲良くしていた。

同じ常連の中で、気が合った4歳上の男と何度かデートをした。
住んでる場所も近かったのでよく映画を見に行ったり、本当に普通のデートだった。
「俺、お前のことすげー好き」と言ってくれたが、
ベタベタくっつくのが嫌いだったようで寂しさを感じた私は合わないと思って振ってしまった。



69: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)20:47:05 ID:tHj
Sの音沙汰が消えて半年以上経ち、
そろそろ真剣にお金を取り戻す方法を何か考えた方が良いのかと思い始めた頃
チャットで出しているライブカメラを見て、
私を可愛いと気に入ってくれたHという人と仲良くなった。

Hは金融関係の仕事をしているというので、
自分が今こういう状況なのだが、何か手はないかと相談した。
すると、協力してくれるとHは言った。



70: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)20:52:32 ID:tHj
状況を整理するため、私がローンを組んだときの控えや
Sに渡した金額と日付を記録していた手帳などの資料をそろえて
Hに見てもらった。
Sの滞在先の住所も、当初教えてもらった場所なら記録があった。

Hはできる限り協力すると言った。
そのための見返りに、私の愛と時間が欲しいと言われた。
別にこんな体で良いのなら、と私は抵抗もなく差し出した。

けれど、Hが求める「愛」とは、私の考えているものとは少し違っていた。



71: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)21:09:40 ID:tHj
Hは私に絶対服従して欲しい、と言った。

絶対服従ということがどういうことなのか理解できなかった。
求められることはできるだけ全部やる、その程度のことだと思っていた。

Hはまず私にHのことを「御主人様」と呼ぶことを義務づけた。
そして今までフランクな口調だったのを改めさせられた。

私は、今までチャットの中ではずっと適当なノリで誰とでも接していたので
Hに対して急にその接し方をしろと言われても困惑するだけだった。
でも、従わなければHは協力してくれないだろうし、
私にとって唯一の頼みの綱であるHを失ってしまったら
もう二度とお金は帰ってこないような気がしていた。



72: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)21:13:57 ID:tHj
端的に言うと私はHの奴隷になった。

休日には、Hが車で私の家まで来た。
朝から晩まで私の家で、Hは私の奉仕を受けた。
Hが来る日は、私はご飯を作ってHの好きなエスプレッソを用意した。
コーヒーに全く興味がなかった私は、10万円くらいするエスプレッソマシーンを買わされた。

Hは、Sに対して強烈な嫉妬をしていた。
頭の悪い私がSに逃げられたくない一心でお金を貸し続けた行為が、
Hにとってはそこまでしても愛した証のように映ったらしいのだった。



73: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)21:19:59 ID:tHj
私はHの命令でパイパンになった。

今まで、性的行為の中で一切受け入れられなかった
痛みによる調教とアナルの拡張もさせられた。

アナル行為は地獄のようだった。
専用の器具を通販で買わされた。

Hの見ている前で、私は浣腸をして排便した。
風呂場でお湯を直腸に入れ、綺麗にした。

ベッドに専用シーツを広げ、
その上でうつぶせになってお尻を高く上げ、
Hの見ている前で念入りにアナルにローションを塗りたくり
アナルに少しずつ拡張具を挿入した。



74: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)21:23:34 ID:tHj
Hは、デジカメで拡張具をくわえ込んでいる私のアナルを撮影した。
「お前は色が白いから、綺麗に映えるな」
と言われた。
初めて見た自分自身のアナルは、
意外なほど綺麗なピンク色をして白いお尻の中心で口をあけていた。

アダルトチャットでも、私が尻を向けてアナルを拡張しているところを配信させられた。
顔が映らないようにするのは大変だった。



75: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)21:29:25 ID:tHj
HとのSEXは主にアナルだった。
ちゃんと準備をしていないと挿入自体がつらくて大変だった。
何にも感じないし、気持ちよくもない。
お尻の穴をウンコが出たり入ったりしているような気持ちの悪さだけがあった。

でもこれはきっと罰なんだと思った。
頭の悪さから愛することを勘違いし、
男との関係にだけアイデンティティを見いだして、
お金を理由に自分の子供を殺した無責任な馬鹿女の末路なんだと思った。

Hにされている理不尽な行為から抜け出せないのも
自分が結局はそうしたいからしがみついているだけなんだろう。

こんな自分は死んでしまえばいいのにな。
初めてそんなことを考えた。
でも死ぬ勇気すらも持てなかったのもまた私だった。



76: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)21:35:09 ID:tHj
Hから受けるつらい行為にもかろうじて耐えたのは、
まだお金を返してもらえる準備をしてくれているはず、
そしてHは私だけを見てくれているはずだ、と信じていたからだった。

それでも日に日に言うことが変わるHに、やがて限界を感じてきた。
Hの目を盗んで、別名でアダルトチャットに入り
それなりに気晴らしをしていた。

そんな時、私はHが私に隠れてチャットの中で別の女を引っかけていたことを知った。



77: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)21:40:18 ID:tHj
Hに従うことが、一気にどうでも良くなった。

もう何も取り返せなくてもいい。
こんな馬鹿らしいことに自分を削ることはもう辞めようと思った。

同時に、今まで自分が利己的な
愛されて当たり前
可愛がられて当たり前
という思いを前提に男と付き合ってきたことを自覚した。

自分は、いちどちゃんと一人っきりにならないといけないんだろう……
一人きりでも、楽しみを見つけて生きられる自分になれなくてはいけないんだろう

私は、Hに別れのメールを送った。



78: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)21:45:06 ID:tHj
メールを送った日、私は28歳になっていた。

翌日、Sの携帯から突然空メールが届いた。

半信半疑で携帯にかけてみると、あれほどつながらなかった携帯が通じていた。

「もしもし」
「今どこにいるの!!!」
「東京のリハビリ病院」
「……はぁーーー!!!??」



79: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)21:49:00 ID:tHj
面会に行くと、そこには変わり果てたSの姿があった。
ちょうど振込みの止まった頃に中国で脳内出血を起こし、
日本で手術を受けたという。

左半身が麻痺していておむつと車椅子なしでは動けず、
とりえだったもの覚えのよさは消えうせ、ろれつが回らない。
一目で、社会復帰は無理だとわかるレベルだった。

「天罰だよね」
と思わず言ってしまった。
Sは黙り込んでいた。

無駄だとわかりつつも、Sに私への借金があることを認めさせ、
返す意思があることを確認して、それを全部ICレコーダーに記録した。



80: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)21:54:10 ID:tHj
それから1ヶ月ほど経ったある日、
彼の携帯アドレスで、身内だと名乗る人からメールが来た。
医者をやってるSの弟さんだった。

Sとは10年以上絶縁状態だったが、
Sの知らせを受けて身元引受人になれるのが自分しかいないため
彼の債務整理を始めたとのことだった。

Sから携帯を取り上げ、履歴や実家に届く銀行からの引き落とし通知を元に
私の存在を知ったという。

その日のうちに弟さんと会い、
Sに貸したお金のことや家具を預かっていることなど現状の全てを話した。



81: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)21:58:48 ID:tHj
弟さんとの話でわかったことは、
Sは東大卒ではなくて都内の獣医学校の出だったこと
自己破産に追い込まれたのは女にひっかかったためではなく、
全てS自身の多重債務のためだったこと。

Sが私に語った過去で真実だったのは、身内が獣医と医者であることと、
S自身に結婚歴があることだけだった。



82: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)22:02:37 ID:tHj
次の週末、私の部屋を一年半ほど占領していた家具は引き上げられた。

ローンは一括で返済することが決まり、
弟さんが支払った一括分の金額を補填してくれた。

私が丸一年出し続けた彼の生活費も半額はその月のうちに、
もう半分は翌月に返ってきた。

Sはその後、実家近くの介護施設に移ったらしい。
弟さんから来た最後のメールにはこう書いてあった。
「嫌な経験をしましたが、彼を反面教師として
お互いに良い人生を送れるといいと思います」



83: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)22:09:45 ID:tHj
私はその後、29歳である男性と知り合った。

とても穏やかで居心地のいい人だった。
交際を申し込まれたとき、私はこういうバカな過去を持っていて
貴方にはとても釣り合わないので付き合えませんと言った。

それでもその人は側にいてくれた。



84: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)22:14:28 ID:tHj
5年の交際の末、昨年入籍した。

来月、夫の実家の側に引っ越すことが決まった。

Sの弟が家具を引き上げた後も、
代用がないためずっと使っていたSのベッドをやっと処分できることになった。


厄落とし代わりにすべてを書いてみた。
これで私の話は終わり。



85: 名無しさん@おーぷん 2016/02/28(日)22:22:12 ID:4Yh
おつかれ!
幸せになれ!



86: ◆QHB7fQ..5k 2016/02/28(日)22:26:43 ID:tHj
どうもありがとう。


88: 名無しさん@おーぷん 2016/03/15(火)03:48:52 ID:fWf
一気に読んでしまった。
今自分が悩んでることなんてどうでも良くなったわ。
幸せになれよ。




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