大学四年の時、アホみたいにスロットをやってた。

知ってる人もいるかと思うが、4号機の北斗や吉宗の時代。

金太郎とかコンチ4Xの爆裂機でハマり、そのまま狂ったようにハマっていってたんだ。

だから内定が決まってた4年の夏前からは、それはもう朝から晩まで通い詰め。

新装やイベントの日は、同級生達と早朝から並んだりして。

店のクセや友達からのお裾分けで、月50万以上も勝ったりしてたから本当に呆れる。

毎日朝から晩まで行ってると、それなりに常連たちと顔馴染みにもなる。

その中にあるタイル職人の兄ちゃんがいた。

仕事もしないでスロットにハマりまくり、給料のほとんどを注ぎ込んでたみたい。

隣で5万とかブッ込んでスッカラカンになる姿を見て、設定6であろう台を最後に譲ったのがキッカケで割と仲良く接するようになっていった。

しばらくは名前も知らなくて「タイル屋の兄ちゃん」と呼んでた。

後になってエイジっていう名前を知る事になったが、キッカケはエイジさんの彼女だった。

エイジさんも昔はヤンキーだったんだろうなって風貌だが、その彼女も同じ。

茶色の綺麗な長い髪に、いつもダボダボのジャージやスエット姿で登場。

くっきり二重で目が大きくて鼻筋も通り、あんな格好してなかったら相当モテると思う。

実際友達もみんな「もったいねーな」と言ってた。

エイジさんにゾッコンなのか、いつも大負けしてる彼を迎えに来る。

モヤモヤと白いムートンみたいなのが張り巡らされた、無駄にウルサイマフラーの軽で。

下手したらヒモなんじゃね?と言われてたぐらい、周りからすると不思議な感じがした。

夏休みに帰省して戻ってきた下旬頃、俺は北斗の6をツモって大量にメダルを積んでた。

このままで行けば万枚いくなと内心大ハシャギだった。

でも昼ちょっと前から来てたエイジさんは、18時頃には10万近く負けてたみたい。

コーヒーあげたりして元気づけたりしてたけど、さすがに10万はヤバいでしょと。

俺の台ラスト2時間打ちますか?って譲ってあげたんです。

だけどもう手持ちの金が1万も無くて、正直銀行にも無いから無理だと言ってきた。

じゃー俺が2万貸しましょうか?となったんだ。

いいよ、悪いよ、と何度も言っていたが、目はウキウキランランだった。

相当勝ってた時期だという事もあり、俺は勝った時に返してくれればと言って2万を貸した。

結局その日は数万円だけ戻ってきて、やっぱり大負けだったみたい。

だから「返すの今度で良いかな?」って言ってきたんだ。

でも次の日からのエイジさんを見ていると、2万は返ってこないだろうなって思えた。

爆裂機やる金も無くなり、ジャグラーなどを打倒して負ける日々。

でも金が尽きたのか、それから10日間ぐらい姿を見せなくなった。

足を洗ったかと思ったけども、姿を現すと爆裂機を打ちまくってる。

仕事して稼いできたのかなと思ったが、俺への返済は「待ってくれ」と言ってた。

しばらくして突然エイジさんから借金の申し出があった。

実はア○ムみたいなとこで借りてたらしく、返済しないとヤバいという。

3万で良いから助けてくれ!泣き付かれ、渋々貸してやった。

これで借金は5万だよな!と自覚はしてた。

エイジさんはその後、数日間姿を見せなくなっては現れ、現れると爆裂機を打ちまくる。

数日で元手が無くなるらしく、また姿を見せないの繰り返し。

そんな事が2ヵ月弱続いた頃、またもや借金の申し出があった。

帰ろうとした俺を待っていたらしく、前回よりかなり切羽詰まった印象だった。

「今度は合計金額を紙に書いて、借用書みたいなのを作るから」

「俺の免許証のコピーとか渡すから」

「な!頼む!この通り!」と土下座までしそうな勢いだった。

ファミレスに行って話を聞いてみると、借金の総額が50万を突破。

しかも最近ヤバい系の街金にまで手を出したらしく、さすがに焦りまくってた様子。





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