めずらしく憂鬱そうな顔をした妹が、リビングでぼーっと天井を見ていた。
妹は19歳、介護系の専門学校に今年から通い始めている。
どちらかいえば、考えるより行動が先の妹が、考え込んでいるなんてかなり奇妙だ。
「どうかした?」後ろから、ちょっと声をかけてみる。
「あっ、兄ちゃん・・・・。」 妹は困ったなぁ、って顔をしていたけど、悲しげとかじゃない表情…。
どうやら失恋したとか、そんな風ではない。
安心して、相談に乗ってあげられそうだ。
妹はちょっと一息あけて、こう言った。
「あしたさぁ、ちんこ触んなきゃいけないんだよ・・・。」
「はぁ?なんだそれ?」
ちんこって、あーた。
「明日、介護実習でさぁ。老人介護の施設行くんよ。
一日、担当したご老人の介護するんだけどさ、下の世話するジャン。
そうなるとさぁ、人生初ちんこ触るわけなんですよ。」
なるほど。ん?人生初ちんこですか?
彼いたじゃん。高校生のときさ。