前にあった話。ほぼ実話です。





会社で席変えがあって、別の部署の女の子と隣同士になった。

その子は2つくらい歳下の25歳。

うちの会社にいるのが信じられないくらいの美人。



仮名をナオとする。



最初の方は緊張していたが、毎日話をしているうちに少しずつ親しくなり、1ヶ月目には友人と言ってもいいような状態。





その時点で分かっていたこと。



・彼氏がいる

・あまりうまくいっていない

・最近ヒマ





これらを考えたら、普通の男ならアタックする。

俺も例に漏れず、探りを入れていく。



「ナオちゃん、最近面白い映画とかある?」



とか



「休みの日、何すんの?」





とか。



彼女の予定を確認し、彼氏との間に入り込む隙が無いかを確認する。



そんな時たまたま話題の店の話になり、会社帰りに寄ってみようか、という事に。

表参道にあるその店の閉店に間に合うよう、早く仕事を終わらせよう、というところまで話がついた。





俺はもう、うきうき。

こんな美女、街を歩いてたってなかなかお目にかかれない。

それを、彼女と2人で表参道を歩く...



周りの人間にはカップルにしか見えないだろう。

そして、チャンスがあればそれ以上...





仕事をしながら、そんなことばかりを考えていた。







夕方頃、彼女から話掛けられた。



「すみません。。ちょっと、見てもらっていいですか?」





エクセルの操作方法についての質問だった。



「あ。いいよ。」



俺はノリノリで席を立つ。

中腰になって彼女の席の画面を見た。



不明点はすぐに解消した。

ピボットテーブルの設定方法を教える。

課題はすぐに解決しそうだった......





が、



「分かった?」



と彼女の方を見た瞬間。



(!)



胸元が甘い事に気づく。

ベージュ色の上着の胸元がぱっくり開いてこちらを誘う。



(見えそう....でも....ばれたら...)





究極の選択。



少し離れていたら、知り合いでなければ、それに夜のデートの予定が無ければ...

遠慮無くその谷間を覗いたに違いない。



だが、その時の条件は厳しい。

隣同士、至近距離、夜に約束している....



(どうしよう....)





とコンマ何秒かくらいの瞬間で悩む。

だが、男の本能は止められない。



(ああ.......)





と心の中で呻きながら視線を移す。





...白いブラの端。

そして、柔らかそうな膨らみが見えた..





(あああ...)



心の中で喘ぐ。

それ程大きくは無いが、美しい顔、スレンダーなモデルのようなスタイルには似合いのものだった。

じっくり、目に焼き付ける。



だが、幸せは長く続かなかった。



彼女が俺の視線に気づく。

そして、その意図を理解したのか、



ばっ...



と、姿勢を変えて胸を覆い隠す。





(ああっ....気づかれた)





と悲嘆するも、顔には出さない。笑顔で



「もう..いいね...」



と話かける。



ナオちゃんの顔は少し真面目な顔だった。



だが、彼女も大人。

あからさまには態度に出さない。



「はい。ありがとうございました」



とお礼をしてくれた。





その後、席に戻った俺は彼女がどう考えているかを思い、悩んでいた。



(絶対、絶対、変態だと...思われてる...どうしよう..)





夜のデートも、それから後の計画も全てが台無しになりそうな予感がした。



(夜の予定も何か理由つけて断られそう...はあ..)





自らの一時の欲望に負けたことを後悔した。

時折、ちらっ、ちらっと隣を確認するも、真剣に画面を見ている。



本当は



「今日、表参道行くの、大丈夫だよね...」



と聞きたかったが、俺のメンタルでは到底クリアできそうになかった。



だから、会議、と称して席を外す。

近くの喫茶店に行き、2時間くらい悶々と燻っていた。





19時前に席に戻る。

遠くから自席の方向、隣のナオちゃんの姿を探すもいない。



(ああっ...もしかして..)



あの事を気にして、怒って、黙って帰ったと思った。

ナオちゃんの事は隣で日常会話をするくらいの関係だが、感覚的にはすごく真面目な娘だ。

際立つ外見、明るい髪の毛の色から想像もつか無いほど、古風な感じ。



だから、胸元を覗かれた事へのショックは大きいのか…



オフィスの入り口で立ち尽くし、惘然とそんな事を考えていた。







だが、席に近づくと、彼女の座席のパソコンの画面はまだついていることに気づく。



(よかった....)





ほっ、と安堵して自席に座り、パソコンをいじる。

だが、黙って帰っていない、と言うだけで嫌われていないという保証は無い。

この後、帰り間際にだってキャンセルの申し出がある事も十分に考えられる。



「やっぱり…今日…やめときます。すみません!」



行こうか、と誘った瞬間に彼女がそう断りを申し出る光景が目に浮かぶ…

もう、気もそぞろで仕事の事など頭に無い。



(ナオちゃん…どこに… どうかな…どうかな…)





しばらくして、メール確認のログインをしている時に後ろの方から声を掛けられた。



「あー。」



「まだ仕事してる。早くいかないと、閉店しちゃいますよー」



(!!!!)





振り向くと、にこやかな彼女の笑顔があった。



(あああああ....)



救われた..と思った。

その時点では。




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